■評価と成長とポートフォリオ■
★スキルより大切なもの
★目に見えない成長を見いだす評価
★与えられた学習からの脱皮!
■ 意志ある学び = 未来教育 
■「評価と成長」…忘れてならない大切なこと
◆『いい成果』のためにしてるんじゃない
◆未来へ『挑戦するプロセス』にこそ価値がある
◆『成長を遂げたその時』、ことばにして伝えよう
◆『目にみえない成長』こそポートフォリオへ
◆「目に見える成長」と「目に見えない成長」
◆芽が出ないとすれば、その理由は...種を蒔いていない、から
◆『評価の観点』で見るまえに...
◆ポートフォリオから『目に見える成長』を見いだすコツ
◆ポートフォリオから『目に見えない成長』を見いだすコツ
◆『失敗に価値を発見』していくおとなの姿勢とことば掛け
◆教師は、『悟らす』ような評価を
◆スタンフォード大学のねらい=いかに失敗をさせるか!


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      ■ 評価と成長とポートフォリオ ■
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★スキルより大切なもの

 総合的な学習の広がりのなかでなんといっても多いのが「調べ学
習」のシーンだ。インターネットで情報をゲットしたり、専門家の
方へインタビューしたり、通行人など見知らぬ方へアンケートをと
ったり、新聞や図書を活かし、情報をリサーチする・ ・・なんと
言ってもこの活動が、小学校、中学校や高校に至る総合的な学習の
時間に行われている子ども達の活動のなかで最も多いことは歴然と
している。
<情報リサーチ>は、私たち教師にとっても子ども達にとっても、
非常にわかりやすく活動しやすいフェーズだ。しかし!子ども達が
社会へでてお年寄りや専門家と元気に<情報リサーチ>をしていれ
ば、いいということではない、もちろんこのような「コミュニケー
ションスキル」や「プレゼンテーションスキル」の成長は、これか
らの時代に必要なことであり素敵に有効なことではあるのだが、そ
こで納得してしまってはいけない。


★目に見えない成長を見いだす評価

 私たち教師が忘れていけない最重要なねらいは、子どもが「目に
見える」スキルの上達や成長をすることではなく、「目に見えない」
子どもの思考や心の持ち方や判断力が深化するような成長なのだ。
情報リサーチをしている子ども達の様子を見るときも、「いま彼ら
は、意志を持ち、大きなテーマを自覚し、考えながら、目的に役立
つ情報を狙いをさだめて集めているか?!」という視点が私たちお
となにはいるのだ。

 子ども達も先生も。「なんのために、何をやりとげようとしてい
るのか?」いついかなる時もこれを忘れてはいけない!これを見失
った学習はさまよえる学習となり、たとえ山ほどの情報(インタビ
ューやデーターや写真)がその活動から得られても、そこに有効な
実りや成長はないといえる。


★与えられた学習からの脱皮!

「調べ学習」も大事、「発表」がしっかりできるようになるのも
大事、しかしそれらのスキル教育のためだけに、総合的な学習の時
間が費やされてはいけない。インタビュアーになるわけじゃない、
プレゼンテーターを養成しているわけじゃないのだから。

大事なことは
・子ども達が「考える」習慣を身につけること
・子ども達が「意志」を常にもっていること
・子ども達が「ゴール」を常にイメージしていること
・子ども達に「重要なことはなんなのか!」が発見できる視力を
  つけること
・子ども達がこの学習に「意義」を感じていること
・子ども達に「もっとよくしたい」という志が宿っていること
・子ども達が「成長」する喜びに気づくこと
・子ども達がしていることの「意味」を知っていること

「与えられた学習」からの脱皮!
意志ある「学び」であること!


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   ■ 意志ある学び = 未来教育 ■
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 私は、知っていたい、自分が何を学ぶのか、どういうふうに行
くのか、どんな成果と評価を体験するのか...そしてそのすべての
軌跡を。まさしくその軌跡を綴じていくものが「ポートフォリオ」。
ポートフォリオは、学びの「基軸」、成長の「プロセス」。「成長」
を「自己確認」出来るもの。

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与えられたものを貰っているだけじゃ人は成長しない、大人になれない。
自分で手を伸ばして、意志あるアクションで自分のものにするんだ。 
与えられるから行くんじゃない。自分で納得して、自分の意志で行くんだ。
その時、はじめて私は人間として生きている気がする、成長出来る気がする。
未来へしっかり立ち向かう力をつけることが出来る気がする・・・。
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出典:「ポートフォリオで評価革命!」学事出版/著:鈴木敏恵

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 ■ 「評価と成長」…忘れてならない大切なこと ■
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◆『いい成果』のためにしてるんじゃない

 総合的な学習は、(いいえ、すべての学びは、)いい成果のため
にしているんじゃない。だからいい成果やきちんとした発表を求め
ることに時間と力を使いすぎない。それより丁寧なプロセス、考え
る時間、どんどんアイディアをあふれさせる場、教師の意図を知ら
せる(これすごく大事!)シーン、そこに時間をかけよう。

◆未来へ『挑戦するプロセス』にこそ価値がある

人生も同じ。
「成功するために生きるのではなく、未来へ挑戦する日々にこそ
静かに輝く価値がある。」そう子ども達に気づいてほしい。

◆『成長を遂げたその時』、ことばにして伝えよう

 教師はその場面のひとつひとつで、その意図や意味や価値を子ど
も達へ話して共有しょう。「意味付け」して伝えよう、さらに言う
なら「いまの気づきすごく大切だからポートフォリオへ書いておき
なね、」そう言おう、あとで子どもが自分の目に見えない成長に気
づくから。

◆『目にみえない成長』こそポートフォリオへ

 子どもが目に見えない成長をしたとき、その時、その場で教師は
声に出して言おう。その片鱗の記載がワークシートの「今日の自分」
などでポートフォリオにはいったら、それがあとで内面の成長とな
りしっかりと確認できる。ポートフォリオからは「〜〜ができるよ
うになりました」というスキル系の(目に見える)成長だけでなく、
目にみえない成長も発見できるはずだ。

◆「目に見える成長」と「目に見えない成長」

 「目に見える成果」ではなく、内面の「目に見えない成長」を
ねらおう。そこにこそ教師の時間と知恵を使おう、したたかな力量
を発揮しょう。「考える力」はこれは大概目で見えにくいモノだ。
(いい『対話』は「考える力」を引き出すことができる<前々号148号参照>)

◆芽が出ないとすれば、その理由は...種を蒔いていない、から

 評価の観点を考えるために時間をたくさん使うことより大事なこ
とがある。評価の観点は「身につけて欲しい力」や「ねらい」でも
あるはずだ。その成長を育むチャンスや場や仕組みや工夫をするた
めにもっと時間を確保したほうがいいのではないかということをお
もう。種を蒔かないのに芽が出るわけがない。
「新しい学習の手段」を講じていないのに「新しい評価の観点」
で評価してはいけない。もし評価の観点で、子どもの成長が発見で
きなければそれは子どもの問題じゃなく、わたしたち教師の問題だ。

◆『評価の観点』で見るまえに...

 基本的に、スキル(技能)は目で見えやすい=評価しやすい。
難しいと思われがちなのは、「内的な成長」の評価である。
学期末などに「評価の観点リスト」などでポートフォリオを見て
 成長したところを探す(評価をする)まえに、その観点の力がつ
 くような工夫を先生たちがしたのか?それを先に考えよう。種を
 蒔いていないのに、芽がでないと評価するのはへんなはなしだ。

◆ポートフォリオから『目に見える成長』を見いだすコツ

基本的に、スキル(技能)は目で見えやすい=子ども自身でも自分
 のポートフォリオから見いだすことができる。そのコツは子ども
 自身が書いてポートフォリオに入れている文章(自己評価や感想
 文など)から次のような表現を探せばいい。「〜〜ができるよう
 になった」「〜〜〜をはじめてやった」など、結構、行動として
 目で見えて「出来るようになったこと」がスキルの場合は多いか
 らだ。

◆ポートフォリオから『目に見えない成長』を見いだすコツ

私たち教師はまたそれに加え、もうひとつの観点からそのこの
「内的な成長/目にみえない成長」を見いだしてあげたい。ポート
フォリオから見いだすそのコツは、「〜〜〜に気づくようになった」
「いままで〜〜〜のふうに考えたことがなかったのに〜〜〜考える
ようになった」。あるいは、自分で「計画を立てて行動」したとき
には「問題解決の方法の基本を身につけた」と評価してあげること
がでいるだろう。また逆に計画を立てたのだが、よく事態や状況を
考え、予測した結果、「計画を変更」したとき、このようなことも、
「大事なことは何なのか考える力がついたね!」あるいは「事態の
予測力がついたんだよ、すごいあなた!」と評価してあげることも
できるだろう。

◆『失敗に価値を発見』していくおとなの姿勢とことば掛け

「コミュニケーション力」も同様だ、ポートフォリオからさがせ
るそれは、「アポイントメントの正式な取り方を身につけた」「手
紙の書き方を身につけた」「はじめての人に正式な自己紹介ができ
るようになった」というだけでなく「相手が拒否した時に、どうい
う対応をすべきか、」などへの気づきも評価してあげたい。これら
のことは、最後の方にポートフォリオから成長点を発見していき
「成長エントリー」を作成するときに忘れてはならない視点だ。

◆教師は、『悟らす』ような評価を

くりかえすが大事なことは、子どもの失敗に意義を見いだし、そ
こに価値さえ発見していくおとなの姿勢とことば掛けだとわたしは
思う。チームがドジったり、一見解決ができなような事態を乗り越
えたときや、当初に立てた計画が変更になったり、さまざまな意見
が出過ぎてなかなかうまくまとまらない時にこそ、「いいね!いま
この瞬間に実はあなた達に、考える力や失敗を乗り越える力がつい
ているんだよ、」といい評価(うまい、悟らすような評価)をして
あげることが教師の力量とセンスだとおもう。なぜならたいへんな
時こそ成長する要素がつまっているシーンだから。

◆スタンフォード大学のねらい=学校にいるうちにいかに失敗を
  させるか!

 シリコンバレー、スタンフォード大学学長がいっていらした。
「私たちの仕事は、彼らに学校にいるうちにいかに失敗をさせるか!」
です。そこからこそかれらは成長もしますし、学びますからと・・・。
創造性、チーム力の最大化、失敗を(力をつけながら)のりこえる力、
この3つが最大のねらいです、そう確信の表情で語っていた。

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