子どもと保護者の感想

 

 「ケイタイプロジェクトを通して」
                    3年 しのさん

 私たちがこのケイタイプロジェクト学習で学んだことはたくさんあります。去年の12月の時点では自分のテーマを考えることが精一杯で、先生からの説明を受けて、ただうなずいているだけでした。けれどゴールが決まった途端、自分に「社会のためにリサーチしなくては!」という使命感がわいてきたのです。

 最終的に決まったチームのゴールは「市民生活を向上させるケイタイ活用法を提案する」というものになりました。最初は、新聞、インターネットからでしか情報を集めることができませんでした。でもこのプロジェクトは教室の中で終わったら意味がありません。やはり自分たちの足で現状をリサーチしなくてはいけないと思い、地域ケアプラザを訪問したり、身近な弘明寺商店街で高齢者の方にインタビューを行ったりしました。

 時には、自分たちのゴールが見えなくなって、ただ「いくこと」が目的になってしまった時もありました。そこでいつも鈴木敏恵先生が「テーマは?何のために?」と問いただして下さいました。今ではあの確認がなければ、良いリサーチ結果を得られなかったと思います。
 ポートフォリオも二冊に増え、どちらもずっしりと重たいものとなりました。回を増すごとに自分の考えが明確になって、行動する力がついていったと思います。また、そこにはチームメイトからのコメント、ゲストティーチャーからのコメントがあったから、私たちの反省点を初めて活かすことができたのだと思います。

 これまでやってきたことが、「ケイタイのよりよい使い方」として人の役に立てたら私は本当にうれしいです。まだまだ甘い、と言われるかも知れないけれど、今までやったリサーチの中で無駄なことは一つもありませんでした。この学習は自分のためだけでなく、他の人たちのためにもなるので、すばらしい学習だったと思います。

 「本当の学習」
                   3年 ゆうすけさん

 TOFY、この学習はいままで私たちが足を踏み入れたことのない学習でした。このTOFYというものがいままでの学習と、どう違うかというと、それは“答え”がないところだと思います。私はマナーを研究していました。そのときに普段の調べ学習ならば、インターネットや本などを見るとすぐに「〜である」とすぐに載っているのですが、TOFYはそうじゃありませんでした。

 インターネットを調べても、図書館で調べても、まったくそんなデータはどこにもなく、あるものといえば“マナーという言葉の意味”と“マナーを守りましょう”というものだけでした。そこで私たちは実際にアンケートをとりに行き、様々な立場の人のマナー意識を調査したり、様々な会社の出しているマナーブックを読みあさりました。そして、これに収まっている研究結果を見てもらえば分かるように、できた物の、その意見自体は○、×ではあらわせないのです。私が正しいと思い書いた内容でも、他の人の目から見れば間違っていると思うかもしれません。

 このように、この学習には「正解」というものがなく、先生に聞いても完全な解答は得られません。もちろんそのための手伝いはしてもらえるのですが、結局は自分たちが動かねばなりません。さらに、人と会うにあたって失敗したり、トラブルが起こることもあります。もちろんなにも得られないことだってあります。しかし、それがうまくいったり、新しいことに気が付いたときなどは、他の学習では到底味わえない達成感と、喜びを得ることができます。

 私がこの学習を通して学んだことは、「学習」というものだと思います。私は、本来学習というのは、暗記したり、計算したりするのではなくこのようなものだと思います。そして私はこの学習をいかし、また次の「学習」に向けて考えていきたいと思います。

 「TOFYと子どもの中学生活」
                  3年女子の保護者より

 今回の「TOFY」の携帯電話に関するプロジェクトという学習のことを聞いたのは、今年の春でした。この学校では入学してから実にたくさんの行事や諸先生方のユニークな学習方法などで、毎日を有意義に過ごしているようで、その上、このプロジェクトも私たち親の興味をも引くものでした。

 中学生のこういうテーマの学習や、研究法については私たち親としましてもどのように受け止めるかわからない部分も多々ありましたが、自分でテーマを決め、ゴールまでの過程を決めすべて自分で調べるという点にとても興味を感じ、「こういう学習なら私たちもやってみたかったね」などと話しておりました。私たちの学生のころは、このような学習法については大学のゼミなどでの研究発表という部分でしたが、自己アピール力やチームワークなどは必要のないものでしたから、この学習法が、私たち大人にもとても魅力的な、新鮮なものに感じられたのです。

 テーマについては日常生活に密着した携帯電話であり、私たち家族のコミュニケーションにもなくてはならないものになっているデジタルツールのひとつであり、広い世代に興味のもたれる話題づくりを提供してくれると思います。

 考えてみますと、今の時代は私たちの若い頃とは社会の構造が違ってきています。また、あらゆる情報が流出、氾濫し、その情報も誰でも一定の条件さえ整えば、とても簡単に手にすることができます。
 その中で本当の情報の真偽を情報を獲得した本人が判断、確認し、自分の中に取り込み、自分のフォームにしていくというのは、私たち大人であっても大変困難なことと思います。そういった複雑な状況下で、このような学習法、そしてこのテーマでの研究に関われたということは子どもにとりましてもとても有意義なことであると認識しております。

  「ケータイプロジェクトを経験して身についた力」

                    3年 ようすけさん

 僕は今回のケイタイプロジェクトに参加したことによっていくつかの力を身につけることができました。それは、普段の必修授業では得られないものばかりでした。一番実感したことは、自分自身の力で成し遂げるという力がついたということです。普段の授業と違って、周りから与えられるものはほとんどありませんでした。

 テーマとゴールの設定からはじめ、どのようにしてゴールにたどり着くのか、どうすれば問題が解決するのか、それに人と会う時のアポ等も全部自分でしなければなりませんでした。

 だから、いろいろな事にチャレンジしました。しかし中には失敗もありました。でも、それも成長につながりました。良い例がコレです。僕の設定したゴールにたどり着くためには議員さんに話を聞くことが必要でした。そこで、はじめは議員さんにメールでアポを取ろうと試みました。しかし返事はありませんでした。その結果を受けて、今度は直接電話をしてみました。すると、OKがでたのです。メールの返信が無かった時に諦めてしまっていたらインタビューをすることはできなかったのです。その後諦めずに電話をかけたことが成功につながりました。このように諦めずに最後までやったことによって自分自身成長することができました。

 また、「責任」ということも実感しました。社会に発信するということはそれだけの責任があるということです。大人の社会(仕事の世界)では常に重大な責任があると思います。今回僕たちのやったプロジェクトと、一般の仕事の責任の重さとを比べることはできないけれど、今まで「責任(社会に対する)」ということを意識してやった学習はほとんど無かったので将来に向けてよい勉強となりました。責任を持てる人というのは、周りからも信頼されると思うので今回の学習はとても重要なものでした。

“自分自身の力で成し遂げる”・“責任を持つ”ということは将来絶対に必要となるものです。それを中学校の段階で学べたということは、とてもよい経験でした。これからは、これらの力を社会の中でも出せる人になりたいと思います。

 「携帯プロジェクトで身についた力」  
                   3年 はなえさん

 私はこのTOFY社会科携帯プロジェクトを約8ヶ月やってきました。数えてみると長かったようだけど、忙しかったせいか短かったように感じます。
 私がこの教科を選んだのは、携帯という身近なテーマだしプロジェクトという言葉に興味を持ったからです。あの時は、まさかこんなことになるとは思いませんでした。
 最初の頃は正直言って、自分が何をしているのかわからないような状態でした。まだメディアについて考えたり携帯電話についての話を聞いたりしかしなかったからです。でもプロジェクト学習や情報リサーチの仕方など、今考えると重要なこともたくさん学びました。

 私はこの学習で街頭インタビューや地域ケアプラザの責任者の方にインタビューなどをしました。それによって、前より自主性が身についた気がします。一人で知らない方に声をかけるのは勇気がいるけどやらなければ結果は得られないし、インタビューで会話が止まってしまっても自分からどんどん情報を引き出さなければいけません。ほとんど自分達だけで計画をして行動するのは大変だったけど、それがこの学習の良いところだったと思います。自分で考えて行動する力は、先生に言われたことをそのままやるような勉強では身につきません。忙しかったけど、本当に充実した学習でした。

 この携帯プロジェクトはとても良い経験になりました。この学習で経験したことはいつか役に立ちそうな気がします。あと、授業で貴重なお話をして下さったり、丁寧なアドバイスを下さったたくさんの方々にも感謝したいです。たくさんの協力があったからこんなに深い学習になったんだと思います。この携帯プロジェクトで貴重な経験ができて本当によかったです。

     
         TOFY:「Time Of Fuzoku Yokohama」の略称で附属横浜中学校における総合的学習の時間。